小論文入試×新型コロナウイルス感染症

小論文入試×新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症×国際分野

 

重要キーワード

グローバル化 ●経済活動の停滞       ●ロックダウン(都市封鎖)
出入国制限  ●訪日外国人旅行者数の激減  ●インバウンド  ●外国人労働者

 

グローバル化による感染の急拡大

新型コロナウイルス感染症の世界的拡大は、グローバル化によって、膨大な数の人が観光やビジネスを目的に、国境を越えて移動するようになったことが一因といわれている。そのため、コロナ禍以降、感染拡大を抑止するために世界各国において渡航制限や移動制限が課されているが、これにより世界は経済活動の停滞、貿易や投資の停滞に直面している。

 

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各国の感染症対策

世界各国の新型コロナウイルス感染症対策は、それぞれの文化的・社会的背景によって異なっている。ヨーロッパの多くの国や、韓国、オーストラリアなどでは、外出禁止など厳しい私権制限を伴うロックダウン(都市封鎖)措置がとられた。トランプ政権下のアメリカ、イギリス、ブラジルなどでは、感染者の増加を軽視し、集団免疫獲得に期待しつつ経済を優先させた対策がとられている。日本では、ロックダウンなどの強い法的規制を避け、国民の自発的行動に期待する対策がとられている。

 

観光業への影響

いずれの国も感染拡大防止のため、外国人の入国を制限する水際対策をとっている。日本も観光目的の入国を禁止しており、海外からの観光客や労働者の流入は激減している。政府は東京オリンピックパラリンピック開催に向けて、2020年の訪日外国人旅行者4,000万人、旅行消費額8兆円を目標としていたが、感染対策のため原則無観客開催となり、この構想は達成されなかった。インバウンドに頼ってきた国内消費額は激減し、経済は大きな打撃を受けている。また、「出入国制限措置」は、外国人労働者にも深刻な影響を及ぼしている。雇用情勢の悪化を受けて解雇されたり、母国に帰国することもできず経済的困窮に陥ったりするケースも生じている。

 

関連リンク

外務省「新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について」

日本政府観光局「訪日外客数」

 

小論文入試出題例

『コロナ後の世界を生きる』(村上陽一郎編)「パンデミックを生きる指針」(藤原辰史)を読み、問3.世界の新型コロナウイルス感染者数(死者数)を示した表を読み、感染者数が多い国では、どのような政治的、社会的、経済的問題を抱えているか、考えを述べよ。〔400字〕

(2021年度/岐阜大学・地域科学部/一般・後期)

世界中の国や地域の人々が日本に観光に来たり、日本で暮らしたりすることによって生じるメリット、デメリット、解決すべき課題にはどのようなものがあるか。新型コロナウイルスの流行の影響も考慮してあなたの考えを述べよ。考えの根拠となるデータを、客観的な資料や文献からの引用によって示すこと。

(2021年度/千葉商科大学国際教養学部・国際教養学科/学校推薦型・総合型)

新型コロナウイルス感染の拡大のなかで、多くの問題が生じ、各国が対応に追われている。海外の事例を1つ取り上げ、日本と比較しながら、対応の違いが生まれる文化的・社会的背景や理由などについて、考えを述べよ。〔1000字程度〕

(2021年度/立教大学社会学部/総合型)

2020年、人類は、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックという未曾有の危機を経験している。今回のパンデミック発生の背景には、グローバリゼーションによって生じた、ヒト、モノの自由で大規模な往来が負の影響を与えたことが指摘されている。今後、新型コロナウイルスの感染拡大が収束したあと、グローバリゼーションの方向性には一定の変化が生じていく可能性があるともいわれる。ポストコロナの時代、国際社会はどのようになっていくと思うか。あなたの考えを述べよ。〔800~1000字〕

(2021年度/神田外語大学・外国語学部・アジア言語学科/総合型)