重要キーワード
●一斉臨時休校 ●子どものロコモティブシンドローム ●ネット依存
●子どもの自殺者数増加 ●オンライン授業 ●ICT活用指導力 ●教育格差
突然の一斉休校
2020年2月末、安倍首相(当時)は全国すべての小学校・中学校、また高校などに対して一斉臨時休校を要請し、その期間は最長3か月間に及んだ。急な要請だったこともあり、学校関係者や共働きの家庭、学童保育をはじめとした現場の混乱を招くこととなった。
その後も感染拡大防止の観点から、体育祭、文化祭、修学旅行などの学校行事の延期や中止に加え、部活動の休止や大会の中止・延期などが相次いだ。これにより、学習の遅れ、運動不足によるロコモティブシンドローム(運動器症候群)、生活リズムの乱れ、ネット依存、友人とのコミュニケーション不足による情緒不安定、保護者の負担増などが表面化した。
子どもへの精神的な影響
2020年における小・中・高校生の自殺者数は499人で、2019年から100人増加した。子どもの居場所がなくなり、ケアが行き届かなかったことが原因の一端と考えられる。2020年春の一斉臨時休校以後は、政府は一斉休校には慎重な態度で、「学級閉鎖」「学年閉鎖」「臨時休校」の判断は、各教育委員会に委ねられている。
教育のICT化の促進
生徒1人1台の端末支給とICT環境整備をめざす「GIGAスクール構想」は、2020年から4年かけて実現させる予定だったが、コロナ禍による一斉休校や臨時休校により、急遽オンライン授業の環境整備が必要になったことから実施が前倒しされ、21年春には小中学生への1人1台の端末支給がほぼ完了した。しかし、教員によってICT活用指導力に個人差があることに加え、各家庭のインターネット接続環境にも差があるため、教育格差を拡大させてしまうことが懸念されている。ポストコロナ時代も含めて、これからの時代においては、ICT活用指導力が教師に求められる基本的な資質能力となると見られている。
関連リンク
文部科学省「全国一斉臨時休業関係(2/28~春季休業前まで)」
文部科学省「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議(令和2年度)(第1回) 配付資料」
小論文入試出題例
2020年に流行した新型コロナウイルス感染症は、あなたの学校を含め全国の学校教育の活動に様々な影響を与えている。この状況から、学校の教師に求められる資質・能力とは何か。また今後、それを得るためにどのような努力をしようと考えているか、自分が志望する教科の指導面も含め述べよ。〔400字〕
『2020年9月29日「産経新聞」』から、コロナ禍における運動会や体育祭について述べた部分を読み、問1.運動会や体育祭の意義と課題について、自身の考えを述べよ。〔400字〕問2.コロナ禍において、運動会や体育祭を中止することに賛成か、反対か。その理由を含めて述べよ。〔400字〕